頭上で揺れ動く枝葉の隙間から見える日差しが煌々していた。
「眩しそうだな?」
言いながら此方を覗き込んだ藤紫の虹彩を宝石のように煌めかせた整った顔が、悪戯な笑みを浮かべる。
「……何か企んでいるの?」
「別に? ほら、眩しいのなら瞼を閉ざしていればいい」
掌から伝わる冷えたぬくもりに両目を塞がれ、反射的に瞼を閉ざす。ざわざわと揺れ動く枝葉。夏の暑さを連れた風が頬を撫でた。
「~~♪ ~~~♪」
繰り返される単調な旋律に合わせ、瞼を塞いでいた手が髪を撫でる。明確な言葉をもたない旋律が子守歌であると気付いた時、既にアクリマの意識は微睡み、深みへ沈もうとしていた。抗おうと瞼を開こうとすれば方掌が両目を塞ぎ、暗闇に閉じ込められてしまう。一抹の恐怖を感じるが、頭を撫でる感覚が孤独を吹き飛ばし、穏やかな旋律は波に揺られているような心地良さを齎した。
「おやすみ。カイン……」
最後の抵抗に言葉を紡ぐ。
「……ああ。おやすみ、アクリマ」
優しい声音で言い終わると再び繰り返される単調な旋律。ぼやけていく意識の中で掌の感覚だけがやけに鮮明だ。
終
20210706 柊木あめ
自作ゲーム【地下都市】が200ダウンロード達成した記念に、何か……二人の絡みを書こうかな、と思いまして……記念品なら濡れ場などではなく純粋に二人が寄り添ってる優しめな何か……と思ったのですが……。
毎月恒例のスランプキャンペーンを開催してしまい……。終了するのを待っていたらいつになるやら……ということで、勢いに任せてしまいました……。
カイン(気に寄りかかっている方)とアクリマ(寝ている方)はBL枠なので、別途でR18でも……書けたら……いいな……?
……まさか200もダウンロードしてもらえるなんて思ってなくて……。評価低いしww
いや、高評価がほしいとかそういうのではなく。自創作に対して「誰も見向きしないだろう」と思ってしまったのですよ……。ゲームを作ることが楽しくて、作り終えたら欲求が治まってしまい、作品と向き合うことを怠りました。……これを機に向き合っていこうと思います。
当方の創作物で遊んでくださり、ありがとうございました!!